「アライグマの被害にはどんなものがあるの?」
「アライグマって可愛い見た目をしているから、そんなに危険ではないんじゃないの?」
「アライグマの被害に遭った時は、どんな対策をしたらいいの?」
はじめまして。害獣駆除博士です。
アライグマは愛くるしい見た目をした動物ですが、実は数々のとんでもない被害を出している「害獣」なのです。
私もアライグマの被害に遭っているのですが、有効な対策法が分からなくて…
アライグマの対策方法はたくさんありますが、中には効果のないものもあります。
そこで今回は、アライグマの被害事例を紹介するとともに、効果的な対策方法も分かりやすく解説します!
「農業や畜産業への被害」「住環境への被害」「人間やペットへの健康被害」と種類に分けてお伝えするので、最後まで読んでさらなるアライグマの被害に遭わないように対策していきましょう。
【アライグマの被害状況や危険性】農業や畜産業、漁業に与える影響
アライグマは可愛い見た目に似合わず凶暴で何でも食べます。
その特徴から農業は勿論のこと、畜産、漁業とあらゆる産業に被害を及ぼしているんです。
スイカやトウモロコシなど畑の農作物への被害
アライグマは雑食ですので何でも食べます。
野菜や果物が大好物でスイカ、イチゴ、ミカン、トマト、トウモロコシなどを主に食べます。
農作物の被害は農林水産省の調査によると2012年は約3億3千万円にも昇ります。
2003年は約1億円弱の被害だったので、9年で3倍にもなったということになります。
乳牛や鶏などの家畜、サケなどの養殖魚への被害
アライグマは牛や鶏などの家畜や養殖されている魚なども全て襲います。
乳牛の乳首を噛み切る被害や牧草のロールやパックを壊してしまうこともあります。
養魚場の魚を食べてしまう被害も報告されています。
食べてしまう事も問題ですが、糞尿をあらゆる所にしてしまうため衛生環境が悪くなる被害も大きな問題です。
アライグマの農業被害件数や被害金額の推移グラフ
(出典:アライグマ防除の手引き|環境省)
環境省が発表したデータによると、アライグマの被害はほぼ年を追うごとに増えている事がわかります。
2003年の被害額は1億円弱でしたが、2012年には3億3千万円にも膨れ上がったのです。
9年で3倍以上の被害になっており、アライグマ被害の深刻さが伺えます。
特に近畿地方の被害が多く、近畿地方だけでも1億6千万円もの被害額がありました。
アライグマは繁殖力も強く全国47都道府県に生息するといわれているため、被害規模は大きくなり続けています。
アライグマの住環境への被害状況や危険性
アライグマは私たちの家に住み着くだけではなく、様々な被害を引き起こします。
主なものとしては悪臭被害、健康被害、騒音被害があります。
それぞれ紹介していきます。
糞尿で天井にシミ、悪臭被害も
アライグマが家に住み着くと問題になるのが糞尿です。
アライグマの糞尿はとても臭いです。
さらにアライグマは同じ場所で糞尿をする習慣があります。
尿を同じ場所ですることにより、床が腐り落ちてくることや尿が天井から滴り落ちてくることがあります。
糞が同じ場所に溜まりすぎて重さで天井の床が抜ける事もあります。
また、糞がどんどん溜まってきてしまうのは別の問題もあります。
アライグマの糞には病原菌がたくさん潜んでいますので、糞が溜まれば病原菌も多くなるのです。
人間が直接糞に触らなくても虫を介して人間への健康被害も起きてくるんです。
糞は掃除をしないとカビが生えてくるので、さらに臭くなり悪臭被害も深刻化してきます。
屋根裏の断熱材や木をかじって巣を作る
人間の家はアライグマにとって最高の環境と言っていいでしょう。
断熱材はふかふかで暖かいですし雨風も凌げます。
天敵となる動物もいませんので子供の出産環境としても最適です。
そのためアライグマは人間の家を好んで住処にしようとします。
その結果、断熱材をちぎって使い物にならなくする被害が多発しています。
また屋根裏や床下の木をかじって傷つけたり引っ掻いたりするため、家の中がボロボロになってしまいます。
アライグマが住んでしまうと家の資産価値が下がるほど傷つけられてしまうのです。
鳴き声、足音による騒音被害
アライグマは夜行性で夜になると動き始めます。
人間が寝ている夜に床下や屋根裏で走り回られると音が大きく聞こえるので寝られません。
その結果としてストレトスがたまり睡眠障害になる人もいるほどです。
泣き声は「キュー」と泣きますが、普段生活していて聴く声ではないため不快に感じる人も多いです。
声を聞くたびに「あぁ、また来たか。家が壊される」と感じてしまうため精神的なストレスも日に日にたまります。
また、アライグマは昼間でも活動する時があります。
動物やペット、池のコイや金魚に攻撃する
アライグマは何でも食べます。
ペットとして飼っている魚や鶏などはアライグマの格好の標的です。
その他にもペットの猫や犬もアライグマに攻撃される場合もあるほどです。
アライグマがペットに攻撃した場合は、ノミやダニも移っている可能性があります。
ペットに移るという事は人間にも間接的に移るという事ですので気をつけましょう。
文化財に傷をつけたり壊したりする
アライグマは民家や畑だけでなく、歴史的に価値のある文化財へも被害を及ぼしています。
京都府が発表したところによると、アライグマの被害は拡大しており歴史的に価値のある美術品などが傷つけられています。
例えば仏像を齧ったり、壁画を引っ掻いたり、仏具を倒して壊してしたりする被害がでています。
有名な歴史的建造物である平等院鳳凰堂でアライグマの爪痕が見つかったこともあります。
ちなみに京都府では2018年にアライグマの被害は400件を超えています。
2005年から見るとほぼ毎年被害数は増えています。
また近畿大学が調査した和歌山県の被害を受けた社寺の被害率は、47パーセントにも昇っています。
被害状況は柱への傷、器物の損害、お供物の盗食などがあります。
アライグマによる病気や感染症など健康被害の危険性や症状
アライグマの体にはたくさんの病原菌や寄生虫が住み着いています。
そのため、噛みつかれたり引っ掻かれると狂犬病などの恐ろしい病気が起こります。
また、アライグマの巣や糞尿にも病原菌などが付着していると考えておきましょう。
噛みつかれてなくても、空気感染や虫を介して感染する場合もあるのが怖いところです。
ここでは、アライグマによって引き起こされる健康被害や病名を詳しくご紹介します。
狂犬病|日本での発症は少ないけど危険な症状
狂犬病は日本人も聞いたことある人が多いと思います。
発症するとほぼ100パーセント死亡すると言われている大変危険な病気です。
世界中で被害が出ており、世界での1年の被害者数は5万人にも昇ります。
狂犬病は感染している動物の唾液に含まれています。
そのため、狂犬病に感染している動物に噛まれたり爪で引っ掻かれたりすると感染します。
動物は爪などを舐めるので唾液がついており感染するのです。
アライグマは狂犬病を持っている場合があります。
さらにアライグマは感染したとしても他の動物に比べてすぐには死なないため、生きている間に多くの動物に移してしまうのです。
アライグマを見たら狂犬病に感染している可能性がありますので、近づかないようにしましょう。
マダニによる重症熱性血小板減少症(SFTS)
アライグマにはたくさんの虫がついています。
その1つが「マダニ」です。
マダニが人間を刺すことによって、重症熱性血小板減少症(SFTS)を引き起こす可能性があります。
重症熱性血小板減少症(SFTS)の症状としては下痢、発熱、意識障害などがあります。
この病気の怖いところは確実に治るワクチンがまだ作られていない事です。
早めに適切な治療を受ければ治ると言われていますが、重症化する患者もいます。
死亡者も出ているのでマダニからの感染は絶対に防がなければなりません。
回虫症
回虫というのをご存知でしょうか?
回虫はアライグマの小腸の中にいる寄生虫です。
回虫を持っているアライグマは、その回虫の卵を糞と一緒に大量に排泄します。
この卵は、虫を介して人間に間接的に接触したり糞尿の清掃の時に接触してしまう時があります。
子供は自分の手や足を舐めてしまう事が多いため、大人よりも感染しやすいです。
感染してしまうと中枢神経系感染症を引き起こします。
人間に発症するのは珍しいと言われています。
しかし発症した場合は、回虫の卵が人間の体の中で孵化して中枢神経に侵入し重い神経疾患を引き起こすのです。
レプトスピラ症
レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌によって引き起こされます。
出血、黄疸、腎臓障害などが主な症状として現れます。
アライグマだけでなく、ネズミ、ウシ、ネコ、イヌなどもこの細菌を保有している事があります。
レプトスピラ症は、尿を直接触ることや尿で汚れた土や水から感染します。
アライグマ自体が感染していなくても、感染している動物と接触しているアライグマは体に菌が付いている可能性があります。
アライグマは人間の家やその周辺に現れやすいので、菌を撒き散らしている危険性があるのです。
また、アライグマの糞尿を清掃・消毒している時に人間に感染しやすいです。
清掃・消毒する時は、肌を出さない完全防備で捨ててもいい服を着て作業しましょう。
外来種・アライグマが日本の生態系にもたらした被害
アライグマは元々ペットとして北アメリカから輸入されました。
「あらいぐまラスカル」というテレビ番組で話題になり、その可愛らしい姿も相まって人気になりました。
ただ、日本で飼われ始めるとその凶暴性から捨てる人や逃げ出すアライグマが多く出始めました。
今ではアライグマはどんどん繁殖して人間のみならず他の動物の生態系にも影響を及ぼしています。
例えば絶滅危惧種のニホンザリガニを食べてしまうことや、アオサギ類のコロニーを破壊してしまう事例が観測されています。
その他にもシマフクロウ、エゾサンショウウオなどが被害を受けています。
ハクビシンの被害が増えたのは、アライグマにより住処を追い出されたからという意見もあります。
このようにアライグマは生物界のバランスを崩しているのです。
アライグマは凶暴で懐かない!見つけても近寄らないこと!
アライグマの性格は凶暴で人には懐かないと言われています。
先ほどもお伝えしたように、元々北アメリカからアライグマはペットとして輸入されました。
しかし、凶暴な性格から人に懐かなかったために捨てられて繁殖してしまったのです。
近寄ったら逃げるどころか攻撃してくる可能性もあります。
噛みつかれたり引っ掻かれた場合、狂犬病にかかる可能性もあるので近寄らないようにしましょう。
アライグマの被害対策方法と注意点
アライグマの被害対策の方法は複数あります。
ただ、間違ったやり方をしてしまうと法律で罰せられてしまうケースもありますのでご注意ください。
対策するにあたっての注意点も一緒にご紹介します。
アライグマを許可なしで捕獲すると法律違反になる
アライグマの被害にあった人は、捕獲したり殺そうと考えるのではないでしょうか。
しかし、アライグマは特定外来生物に指定されているので捕獲や殺したりすると法律で罰せられてしまいます。
違反した人は1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科されます。
法律違反を避けるためには自治体への申請が必要になります。
一般の人が許可なしでできるアライグマ対策は、基本的に「追い出すこと」「侵入させないこと」のみになります。
①侵入経路や住処を特定する
アライグマを追い出すためには、侵入経路と住処の両方を見つける必要があります。
侵入経路が特定できないと、隙間を塞いだとしても他の場所から再侵入されてしまう事があります。
また、アライグマの侵入経路でなかったとしても隙間は全て特定しておかないとまた再侵入されてしまいます。
侵入口は屋根の隙間や換気扇が狙われやすいです。
そして、住処を特定することにより忌避剤を有効に設置する場所が分かります。
さらにアライグマを追い出した後は、巣の掃除をしないと悪臭被害だけでなく病原菌が増えてしまうので住処は必ず特定しましょう。
②バルサンや忌避剤で追い出す
バルサンはゴキブリやダニなどを殺す成分を放出する燻煙剤です。
バルサンの臭いや成分は、虫だけでなくアライグマも嫌がります。
屋根裏や床下で焚くことによってアライグマを追い出す事が可能です。
忌避剤は害獣が嫌がる臭いを配合した薬剤です。
ホームセンターやAmazonなどのネットショップには害獣向けの商品が多数販売されています。
忌避剤には害獣が嫌がる臭いの成分が使われていますので、自分が駆除したい害獣の嫌がる成分が入った忌避剤を選びましょう。
一般的にアライグマは唐辛子、ハッカ、オオカミの尿、木酢液、ハッカ油の臭いを嫌がります。
使い方は忌避剤により異なりますが、一般的な物は忌避剤を侵入経路に置いて使うものが多いです。
バルサンや忌避剤でのアライグマ対策のコツや使用の注意点などはこちらの記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
③金網などで侵入経路を塞ぐ
アライグマの侵入を防ぐためには、屋根裏や床下への隙間を塞ぐ必要があります。
アライグマは中型動物なので8cmほどの隙間があれば入ってきます。
アライグマは凶暴なだけでなく器用な手先を持っていますので、ガムテープで簡単に塞いだくらいでは壊して侵入してきます。
必ず硬いパンチングメタルや金網を使って隙間を塞ぎましょう。
隙間は1か所ではなく複数箇所あるということも覚えておいてください。
隙間が残っていると、そこからまたアライグマが入ってきてしまいます。
ちなみに床下から入ってきたとしても、壁の間を使って天井に移動する場合もあります。
また、腐ってしまい弱っている外壁やトタンは修理しておきましょう。
アライグマは凶暴なため力ずくで壊して入ってきます。
④糞尿の清掃・消毒
アライグマを追い払ったら、糞尿の清掃・消毒も忘れずに行いましょう。
そのままにしておくとゴキブリ、ウジ、ハエが集まってきてしまいます。
仮に屋根裏に害虫が集まったとしても、いずれ家の中にいる人間の前にも必ず現れます。
また、糞尿の中には病原菌が大量に含まれています。
その病原菌を集まってきた虫を媒介して人間やペットに間接的に広げてしまいます。
人間がかかってしまう感染症としては、レプトスピラ症、回虫症、重症熱性血小板減少症などがあります。
また、糞尿にカビが生えてくるとさらに臭くなります。
早い段階での清掃・消毒が必要です。
アライグマの糞尿の安全で正しい清掃・消毒の方法はこちらの記事で詳しく解説しているので、実際に処理する方は1度目を通しておくことをおすすめします。
自分でアライグマの被害対策ができない場合は、駆除業者に依頼しましょう
アライグマの駆除は自分で行うことも可能です。
忌避剤は売っていますし、糞尿の清掃・消毒もできるでしょう。
しかしアライグマの駆除は考えているよりも簡単ではありません。
アライグマは8cmほどの隙間であれば簡単に侵入してきます。
そのため、まずはアライグマが入れる隙間を全て探す必要があります。
この隙間を幾つか見つけることはできると思いますが、全て見つける事は素人にはかなり難しいです。
また忌避剤の置く場所の正確な位置は分かりますでしょうか?
忌避剤の置くポイントによってはアライグマに効果が現れない時があります。
さらに追い出せたとしても糞尿の清掃・消毒は素人には大変危険です。
糞尿には病原菌や寄生虫が潜んでおり、安易に近づけば感染してしまうからです。
今説明したようにアライグマの被害対策は大変難しいです。
少しでも不安を感じているならアライグマ駆除業者に頼んだ方が安心です。
アライグマ駆除業者なら確実にかつ迅速に駆除してくれます。
現地調査や見積もりは無料で行ってくれることが多いので、アライグマ被害に遭っている方はまずは無料相談してみてがいかがでしょうか?
こちらの記事で人気のアライグマ駆除業者を料金やサービス内容で比較してランキング形式で紹介しているので、おすすめの駆除業者を知りたい方はぜひご覧ください。