「実際のところ、ワイヤーメッシュ柵でイノシシ対策ってできるのかな?」
「ワイヤーメッシュ柵はどうやって設置したらいいの?」
「イノシシ対策にはどんなワイヤーメッシュを買えばいいのかな…」
はじめまして。害獣駆除博士です。
ワイヤーメッシュはもともとイノシシ対策に作られた製品ではありませんが、本当にイノシシを侵入させない効果があるのでしょうか?
私もイノシシ被害に遭っていてワイヤーメッシュ柵を取り付けようかと思っているのですが、効果があるのか不安で…
設置には手間や時間もかかりますし、効果が分からなければ心配になりますよね。
ですがご安心ください!
今回は、ワイヤーメッシュ柵がイノシシ対策に効果があるのか分かりやすく解説します!
効果のある柵の選び方や正しい設置方法、注意点なども合わせてお伝えするので、最後まで読んで効果的なイノシシ対策をできるようになりましょう。
イノシシ対策にワイヤーメッシュの柵は効果ある?
(出典:網忠金網 株式会社)
溶接金網として知られているワイヤーメッシュ。
直径3mmから6mmの鉄の棒を縦と横に溶接して網にしたものです(イノシシ対策には強度でいうと6mmがおススメ)。
網目は5㎝、7.5㎝、10㎝、15㎝、20㎝の四角いマス目で規格サイズは様々。
全体のサイズは1m×2mが主流です。
ワイヤーメッシュは、イノシシよけに作られた資材ではありません。
本来の使い方は建築用資材でコンクリートの強度を高めるために中に埋め込まれているものです。
ポリ製の紐状の網に比べて強度が高いので、イノシシよけの柵として注目されてきました。
最近では、鳥獣害用に設計・販売されているものもあります。
金属製ということもあり、イノシシに噛み切られる心配もありませんし、価格も安価で設置の作業も手軽に行えます。
支柱を打つ際にもセメントなどの資材を使用せずにできます。
少々大げさに言うと、材料とハンマーさえ準備しておけばどんな天候でも設置可能な手軽さです。
そして効果も実証されています。
柵の向こうに餌を置きおびき寄せた上で侵入防止効果を検証する実験では、ほとんどのイノシシが柵を目の前に引き返しました。
それもそのはず、このワイヤーメッシュによるイノシシ対策は、日本でも有名なイノシシ研究家が開発したものです。
イノシシの性質をよくご存知の方が開発したものですから、こうして侵入防止効果が実証され、多くの方に利用されているのも当然ですね。
イノシシ対策に効果的なワイヤーメッシュ柵のポイント
ワイヤーメッシュはイノシシよけのために作られた製品ではありません。
そのためイノシシ対策にワイヤーメッシュを使う場合、選ぶ基準を持っておくことが重要です。
ここでは2つのポイントを紹介します。
①網目のサイズが10㎝以下
前述で網目の規格サイズがいくつかあるとご紹介しました。
ホームセンターなどで購入する場合、一枚のワイヤーメッシュの網目のサイズは同じです。
鳥獣害用に設計されたものは上部と下部では違います。
上部は15㎝~20㎝と大きめの正方形ですが、下部は横にもう一本付け足して7.5㎝と幅が狭くなっています。
これは、幼獣ウリ坊の侵入を防ぐためなんですね。
ウリ坊が柵をくぐって畑地に入ると親も入ろうと柵をいじることでしょう。
そのように何度も柵に衝撃が加えられることで、柵の強度が低下してしまいます。
そのような事態を防ぐために、ウリ坊が侵入できないようにしなければいけないのです。
では、ホームセンターでワイヤーメッシュを購入する場合はどうすればいいでしょうか。
ウリ坊の侵入を防ぐためには、単純に網目のサイズを小さくすることです。
必要な高さは50㎝あればいいでしょう。
それで下の部分だけに半分にカットしたワイヤーメッシュを足してもウリ坊の侵入対策ができます。
ある専門家の意見では10㎝以下で良いと言うことなので、分けるのではなく10㎝以下に統一してもいいかもしれません。
そして、もう一つ注意点。
鳥獣害用のワイヤーメッシュは下部だけ間隔が狭くなっているので、ウリ坊対策には便利だと簡単に考えがち。
でも、野生動物にとっては正方形の網目より長方形の網目に興味を持ち、カプッと横線に噛みついてしまう習性があるんです。
何に魅力を感じているのか分かりませんが、面白いですね。
そのため、網目は長方形より正方形がおすすめです。
②錆止めがされている
(出典:小さな庭とバラ物語)
ワイヤーメッシュは金属製なのでもちろん錆びます。
時間の経過とともに雨風にさらされて腐食していき、強度に問題が出ます。
錆びてしまったら錆を落としてから錆止めを塗装する必要があります。
この作業、考えただけでも気が遠くなります。
ということで、錆止めがすでに施されているものを購入しましょう。
はじめから錆止めがされているワイヤーメッシュを購入すると設置後のメンテナンスに時間と手間がかかりませんよ。
イノシシ対策にワイヤーメッシュの柵を効果的に設置する方法
イノシシ対策にワイヤーメッシュは効果的なのですが、正しく設置しないと破壊されたり侵入を許してしまったりする可能性があります。
そこで、ここではワイヤーメッシュ柵を初めて設置する方向けに6ステップに分けて設置方法を解説します。
- 設置場所を整地する
- ワイヤーメッシュ柵を地面に並べる
- 支柱を打ち込む
- ワイヤーメッシュ柵を仮止めして地面との隙間をなくす
- ワイヤーメッシュ柵と支柱を結びつける
- 柵が持ち上げられないようにアンカーを打ち込む
それではステップ別に詳しい方法を分かりやすく紹介していきますね。
①設置場所を整地する
ワイヤーメッシュを設置する前にしなければいけないのは整地。
柵が接する地面を平らにして行く作業です。
柵の設置は、数m程度なら簡単ですが10m以上になると手間と時間がかかります。
山になるともっと大変ですよね。
その作業をスムーズに行うためにも整地は大切な作業です。
山林では木の根があったり大きな石があったりして行く手を阻む障害が多いでしょうが、整地を終わらせて作業に入ると後が楽です。
まさに段取り八分。
竹や笹の根株、茅などの大きな根株がある場合も先のことを計算して慣らしておくなら、後の柵の設置作業の手間に違いが出るでしょう。
どうしても取り除けない障害物がある場合には、柵の設置位置をずらすなど調整してください。
②ワイヤーメッシュ柵を地面に並べる
(出典:鳥獣被害.com)
支柱を打ち込む前にワイヤーメッシュを並べていきます。
並べると言っても、地面に寝かせた状態です。
適当に並べるのではなく設置時と同様に10㎝程重ねていき、実際の距離感も見ていきましょう。
ここで重要になるのが、「どっちを上にして寝かせるか」
横線が上に来るように寝かせてください。
これを立ち上げたときに横線が畑地側にあるようにします。
これによりイノシシが横線にかみついたときに接着部分が取れて破損するのを予防します。
細かな工夫ですが、少しでも柵の強度を高めることでイノシシ対策効果を上げることができるのです。
③支柱を打ち込む
支柱には種類があります。
セット品(鳥獣害用)のワイヤーメッシュを購入するなら、鉄筋のような細めの支柱(約1㎝)も付いています。
ワイヤーメッシュだけを建材店から購入すると直径4㎝ほどの銅管などもあり、直径サイズが選択できます(もちろん細いサイズも選べるでしょう)。
しかし打ち込む地面に小石などの障害物が多い場合、直径が太いと支柱が入り込みにくく手間と時間がかかるのでご注意ください。
設置場所の状況によって支柱の直径サイズを選ぶようにしましょう。
では支柱を打ち込む前に必要な道具やポイントを確認しましょう。
道具
- 支柱を打ち込むときに必要な重さのあるハンマー
- 打ち込むための単管(打ち込み器)
※単管(打ち込み器)を使う場合の支柱の直径は2㎝以下が好ましいです。
単管(打ち込み器)について
単管とは、建設現場の足場に使われる直径5㎝位の鉄製のパイプです。
DIY用品が揃っているショップのネット通販でも購入できますし、お近くのホームセンターでも手に入ります。
これは細めの支柱にかぶせて打ち込むときに使いますので、長さは1mを選びましょう。
1mで約500円です。
打ち込むために『打込座金』(約250円)を単管の上部にかぶせます。
こうすることで支柱が打ち込みやすくなります。
支柱は50㎝ほど打ち込むので、元々の全体の長さが少なくとも150㎝(地中50㎝+地上約100㎝)はあります。
打ち込み始めは目の高さ程ですから、単管をかぶせて打つことによって安全に打ち込みやすくなるでしょう。
ハンマーは重さがあるので間違って手を叩かないように注意してくださいね。
支柱を打ち込む間隔
打ち込んでいく支柱の間隔はワイヤーメッシュの幅より少し内側になります。
ワイヤーメッシュを少しずつ重ねて設置していくので、ずれが生じないよう計算して支柱を打ち込んでいきましょう。
ワイヤーメッシュが重なった部分の中心部が強度を高めますよ。
支柱を打ち込む位置
打ち込む位置は寝かせて準備をしているワイヤーメッシュに対し田畑側です。
支柱を打ち込んだ後、そのままワイヤーメッシュを立てて設置していきます。
柵を設置した時に支柱が田畑側に立っているようにしてください。
④ワイヤーメッシュ柵を仮止めして地面との隙間をなくす
支柱を打ち込んだら、ワイヤーメッシュを取り付ける作業になります。
でも、ちょっと待ってください。
ワイヤーメッシュを支柱に完全に固定する前に地面との隙間をなくしていきます。
どこに隙間ができるかを見ながらの作業なので、ワイヤーメッシュを2枚ずつ立ち上げて仮に留めておくと良いでしょう(重ねの部分も調整しつつ)。
仮止めの時は、隙間を埋めながらワイヤーメッシュの高さも調整していくので遊びがあるくらいの余裕をもたせてください。
手順はこうです。
- ワイヤーメッシュを2枚立ち上げる
- 端を10㎝くらい重ねて仮止めする
- 設置位置が決まったら隙間をなくしていく
- 支柱にしっかり固定する
上の手順のように1~4の作業を少しずつ進めていく方が、ズレることなく進めていけるでしょう。
完全な潜り込み対策は鉄パイプを置いたり、ワイヤーメッシュの平置きなど別の方法を加えることができるので、ここでは柵の下に潜り込めるような空洞を空けないという程度で十分です。
もし掘り起こせないような石や木の根が邪魔をしている時の処置はこちら。
- ワイヤーメッシュを障害物に合わせてカットする。
- 隙間をメッシュワイヤー(小さめの網目のもの)で埋める。
とにかくイノシシが入り込もうとしないように、しっかりと隙間をなくしましょう。
⑤ワイヤーメッシュ柵と支柱を結びつける
ワイヤーメッシュと支柱を完全に固定するために使う道具はこちら。
- ペンチまたはハッカー
- U字結束線(番線)または結束バンド(プラ製)
U字結束線で固定する際に使うのがハッカーと言われる道具です。
ハッカーの先を使ってクルクルっと2、3回回転させれば番線が絞まっていき、支柱と柵が固定されるんですね。
「そんなのできない…」と仰る方は通して絞めるだけの結束バンドを使うこともできます。
ただし、ちょっと高めの質のいい結束バンドを使わないと、すぐに劣化してしまいます。
耐久性のいいU字結束線を選ぶなら、錆に強いステンレス製がおすすめです。
また支柱に柵を固定してから分かることもあるのが地盤の弱さ。
ワイヤーメッシュ柵の重みで支柱がゆるんだりしていないか確認してくださいね。
雨が降った時に水が溜まりそうなところは要注意です。
地盤が弱そうなら強度を増す工夫をしましょう。
⑥柵が持ち上げられないようにアンカーを打ち込む
(出典:鳥獣被害.com)
アンカーとは柵が動かないように地面と柵を固定する金具です。
形はJ字。
これを逆さにしてワイヤーメッシュにひっかけ土に打ち込むイメージです。
イノシシが柵を持ち上げようとした時の為の予防策なんですよ。
ワイヤーメッシュの本体につき1本、柵の真ん中の位置に設置していきます。
これによって柵自体の強度も高まるので、必ず設置しましょうね。
作業時間の目安
作業時間は地盤のコンディションや傾斜などの足場環境によって異なります。
例えば、整地が終わっていて地盤がいいとしたら、と仮定してみましょう。
そうすると、2人で作業して1日でできる距離は50m程度。
※作業者が女性の場合、ワイヤーメッシュ線径6mmは重く作業が大変かもしれません。
ワイヤーメッシュが幅2mですから、重ねの部分を計算に入れないと25枚分ですね。
ケガに気を付けて、あまり急がずに作業してくださいね。
安全第一ですよ。
ワイヤーメッシュ柵をイノシシ対策に使う注意点
では柵の設置に関して気を付けておきたい4つのことについてお知らせします。
- 隙間は絶対に空けない
- 柵の高さは1.2m以上
- 定期的なチェック
- イノシシ用の柵で補助金?
地面との隙間は絶対に空けない
設置の方法でもお伝えしましたが、柵と地面の隙間があるのは厳禁です!
イノシシは飛び越えるリスクより下から潜り込む方を選ぶからです。
一説には飛び越えたときのリスクとして、着地に失敗し脚にダメージを受けると命取りになるからというものがあります。
真実がどうであれ、データとしても潜り込みの方を好むことが知られています。
彼らもより安全な方法を知っているのでしょうね。
であれば、柵と地面の隙間から侵入しないよう地面に接する部分に鉄パイプや竹などを設置したり、何かで閉じる対策をしていきましょう。
柵の高さを1.2m以上にする
イノシシは1mの高さなら助走なしで飛び越えることができる身体能力の持ち主です。
せっかく作った柵を飛び越えられては残念。
ワイヤーメッシュ柵の設置後に何度も侵入被害に遭っているなら、柵を追加して高さを1.2m以上にしましょう。
鳥獣害用に作られているものなら設置後の高さが1.2m以上のものも販売されているかもしれません。
購入時点から高さがあるものを選ぶこともできますね。
さらに外側を折り返す『忍び返し』も効果的。
設置してある柵を細工するのではなく、忍び返しがついている柵を購入するのもアリ。
自分で市販の柵を横半分にカットして忍び返しとして曲げた後に追加することだってできますよ。
どんな方法をとるかイノシシの侵入具合を観察しながら追加していくと良いですね。
定期的に不備が無いかチェックする
定期的なメンテナンスも忘れずに行いましょう。
- 柵のつなぎ目に破損はないか
- 支柱は倒れていないか
- ワイヤーメッシュ柵に破損はないか
- 柵と地面が接するあたりに穴が掘られていないか
- 結束線が切れていないか
形あるものは時間の経過で劣化するのは当然です。
また野生動物によるいたずらや侵入努力によっても修繕が必要となるでしょう。
タヌキなどの中型動物による穴掘りの痕跡がある場合には、穴を埋めたり掘れないように石などの障害物を置いたりなどして再発を未然に防いでください。
台風や暴風雨の後にも倒木などによって柵が壊れていないか見回りも必要です。
金網なので毎週は必要ないとしても、定期的にメンテナンスしておくなら柵を恒久的に使うことが可能になります。
一般的に修繕というと破損したものを修理するイメージですが、破損しないようにメンテナンスしていく方が費用もかかりませんよ。
例えば、傷がついて錆びる前に錆止めを塗っておく、上から木の枝がのしかかる前に枝を払っておく…なんてことを前倒しに行っていくと良いでしょう。
イノシシ対策で柵を使う場合、補助金を利用できる可能性あり
イノシシ対策で補助金が出ることをご存知ですか?
もちろん自治体によって費用も対象物も異なります。
でも国の事業として打ち出されている方策もありますよ。
それは、農家さんで3戸以上にわたってイノシシ被害があった場合、無償でワイヤーメッシュ柵の材料を支給するというものです。
柵の支給という形で援助してくれる自治体はいくつか見られます。
ある市では、個人ならワイヤーメッシュのみを無償貸与というものがあります。
さらに同市では、対象を自治会に限りワイヤーメッシュ柵一式を貸与するというものもあります。
他にも購入の2分の1を補助金として支給したり、10万円以上かかったなら5万円まで補助金を支給するなど様々です。
イノシシ対策にワイヤーメッシュ柵をご検討の方は、是非購入前にお住まいの自治体に問い合わせてくださいね。
ワイヤーメッシュ柵以外のイノシシ対策方法
最強のワイヤーメッシュ柵ですが、敷居が高いという方にそれ以外の方法も簡単にご紹介しますね。
それはこの2つです。
- ライトを使って視覚を刺激する方法
- 嫌がる臭いを使って嗅覚を刺激する方法
ライトは夜間に侵入してくるイノシシへの忌避対策となります。
ライトの眩しさがイノシシにとって不快感と警戒心というダメージとなります。
けれどイノシシは頭のいい動物なので、慣れたり学習したりするとライトに忌避反応を示さなくなるんですね。
そこでライトの色や照射の仕方などに工夫を加えることによって忌避効果を高めていきます。
イノシシ対策用のおすすめライトはこちらの記事で紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
>>「【イノシシ対策にライトは効果ある?】おすすめライト3つを紹介!」
また日中でも使える対策としてイノシシの鋭い嗅覚を使った対策があります。
イノシシが近寄りたくない!と思わせる匂いを使うんです。
このニオイの種類や使い方によってもイノシシよけの効果がグンと変わります。
頭の良いイノシシの裏の裏をかく作戦で対策グッズを活用していくのも楽しいですよ。
ワイヤーメッシュ柵でイノシシ対策できない場合は、駆除業者にお願いしよう
無敵のワイヤーメッシュ柵ですが、最後にデメリットについてもお伝えしなければいけません。
- 1枚が10キロ前後になる
- 整地が困難な場所もある
- 人数(男手)が必要
- 場所によっては持ち運びが大変
当然数枚で終わるものではないので、女性では無理です。
それでも夫婦二人で設置しようとすると時間がかかるでしょう。
急な斜面なら設置に時間と労力を費やします。
今期までに柵の設置が間に合わなかったり、イノシシ被害がひどかったりする場合は、駆除業者にイノシシの駆除を相談してみてはいかがでしょうか。
イノシシはすぐに繁殖して増えてしまいます。
ワイヤーメッシュ柵を設置しながらイノシシの駆除業者に駆除をしてもらう、というのも来期に備える方法かもしれませんね。
おすすめのイノシシ駆除業者についてはこちらの記事で厳選しているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。