「実際、イノシシ対策に唐辛子って効果あるの?」
「唐辛子でイノシシを撃退する時って、どう植えたらいいの?」
はじめまして。害獣駆除博士です。
害獣対策に唐辛子を使うのは有名ですが、実際のところイノシシにも効果はあるのでしょうか?
私の畑もイノシシ被害に遭っているのですが、唐辛子を使おうか迷っていて…
唐辛子にイノシシの撃退効果がない場合は、被害もどんどん拡大してしまいますよね。
そこで今回は、唐辛子にイノシシ対策の効果があるのか、複数の実験結果をもとに分かりやすく解説していきます!
唐辛子を植える際の注意点や唐辛子成分入りのおすすめ対策グッズなどもお伝えするので、最後まで読んでイノシシ被害を食い止める参考にしてもらえればと思います。
イノシシ対策に唐辛子を植えるのは効果ある?
イノシシ対策に唐辛子を植えた場合、実は効果があると報告された事例とない事例の両方があるのです。
ここではそれぞれのケースを詳しくご紹介します。
効果があるとする事例
「イノシシ対策には唐辛子!」なんてことを耳にしたことはありませんか?
唐辛子を植えて(または種を撒いて)収穫できる時期は、夏の時期7月から9月いっぱいです。
畑ではイノシシの大好物のさつまいもが太ってきている時期でもあります。
一方、猟師さんたちの狩猟解禁期間は11月から春にかけて。
つまり、狩猟時期の前のイノシシ予防策は唐辛子の出番ということですね。
唐辛子そのものに効果があるとすれば、芋が畑で育つ時期にイノシシよけの効果を発揮することができます。
さらに唐辛子の葉っぱにも効果があれば、唐辛子の苗が育つ5月から梅雨の時期にかけてもイノシシよけができるということになります。
では具体的にどんな方法があるでしょうか。
ここで2つの実験結果をご紹介しましょう。
ひとつは、県の害獣対策で畑への侵入を阻止した例です。
このグループは畑の作物を守るため、畑の外周にイノシシが嫌うと言われてる唐辛子などの野菜を植え付けました。
この時、活用したイノシシの感覚は視覚と嗅覚。
このイノシシの感覚を利用して唐辛子のニオイで寄り付かないようにし、唐辛子の苗の存在でその向こうにある作物を見えなくするという作戦です。
この計画は上手くいき、イノシシは侵入せず作物への影響はなかったそうです。
もう一つは、学生のグループが水田への侵入対策を行った例です。
学生たちは唐辛子を詰めた軍手を紐にぶら下げて水田の周りにぐるりと設置しました。
この際、ブルーの苗ポットも併用したことから、厳密に言って何に反応したのかがはっきりしませんが、4年もの期間にわたって侵入を防げているという結果が出ています。
この実験からも、唐辛子にはイノシシを寄せ付けない効果があるということがわかりますね。
しかし、実はこの真逆の意見もあるのです。
どういうことでしょうか。
効果がないとする事例
唐辛子にイノシシ忌避効果があるという一方で、効果はないという意見があるのも事実です。
あるグループは野生のイノシシに対する忌避資材の効果を検証しました。
このチームは実験を行った理由として、効果が実証されていない忌避剤の情報によって現場に混乱が生じているからだとしています。
確かにその通り。
しかし前述の事例とは真逆で、彼らの実験では唐辛子には忌避効果が全く見られなかったということでした。
でも、どのような条件で検証したのか気になりますよね。
では、簡単にその方法をご説明いたします。
唐辛子由来の忌避剤を使用したものは2通り。
2つとも「唐辛子エキス+木酢液」を使った実験です。
これを使い、唐辛子の味覚と木酢液の嗅覚に対する刺激での忌避効果を検証。
ひとつは、これを布に含ませ不知火(デコポン)という柑橘系果実8個を準備し、その上50㎝に吊るして置きます。
もう一つは同じ「唐辛子エキス+木酢液」をやはり不知火5個に直接塗布する方法です。
これらがどのくらいで完食されるかその時間のデータを集め、効果を探ろうというわけです。
結果はあっけなく食べられてしまったということ。
結論として、唐辛子には忌避効果は見られなかったとしました。
興味深いことに、同じ企画の中で点滅ライトを使った検証が行われ、より効果が見られたという結論に至ってました。
完食されるまでの時間が長かったということですね。
ここで注目したいのは点滅ライトの効果性ではなく、点滅ライト実験に使った果実がハッサク50個だったという点です。
ハッサクって不知火(デコポン)より酸っぱくないですか?
そしてそれが50個も置いてあったんです。
食べてしまうまでに時間はかかると予想できますよね。
しかもここに出没したイノシシの個体数でも違いがでてきます。
何が言いたいかというと、この検証の内容にはいささか疑問が湧くということです。
同じ果実、量、環境、時間、日付での実験ならともかく、違う果実、違う数量、異なる場所や時間で検証しそれが完食されるまでの時間だけで結論を出す、というのでは信憑性に欠けるのではないでしょうか。
このことから、唐辛子によるイノシシ対策効果を高めるためには、その時の状況に合わせて使い方に工夫を加えていくのがベストだろうと考えるしかありません。
唐辛子成分入りのイノシシ対策おすすめグッズ3選
唐辛子を植えてみる価値があることはわかりましたが、それも時期と人を選びますよね。
お住まいの地域が北よりなら植える時期も限られます。
でもご安心ください。
唐辛子の辛味成分カプサイシンを使ったイノシシよけグッズがあります。
ここでは、数ある唐辛子成分を使ったイノシシ撃退グッズの中からおすすめ3つを厳選しました!
亥旦停止(いったんていし)
- 唐辛子成分カプサイシンを使用
- 青色を使って視覚効果発揮
- 吊るすだけで設置が簡単
- 効果が1年持続する
亥旦停止(いったんていし)は、イノシシの視覚と嗅覚を使った忌避剤です。
唐辛子成分カプサイシンを利用して、イノシシを刺激し寄せ付けない効果を狙っています。
サイズが9.5㎝×50㎝の不織布に色と忌避剤が塗布してあり、それを吊り下げるというもの。
20枚から100枚ほどセットになっているので、広い場所での設置に向いていますね。
もちろんご自宅の敷地周りでも活躍するでしょう。
1年ほったらかしでイノシシよけができるのも魅力的!
亥旦停止は高速道路関係、農協関係者などの企業がイノシシよけに使っていることからも、一度試してみたいという気持ちになります。
自治体からの補助金を受けられる商品というのも嬉しいですね。
カプサイシン入り 獣よけ線香
- 唐辛子辛味成分カプサイシン使用
- 煙によってカプサイシンを飛散
- 煙が届く広範囲で忌避対策ができる
次にご紹介するのは、唐辛子粉末を練り込んだ蚊取り線香ではなく動物よけ線香です。
動物よけにも線香が使えるんです。
確かに動物よけですから、蚊取り線香に比べ煙の量が一段と多くなるよう作られています。
以前、農作業中のスズメバチよけに蚊取り線香6巻を一度に使った記憶があります。
そんな発想を拡大したイノシシよけですね。
イノシシも単純に煙を嫌がるので、カプサイシンの刺激臭をプラスすることで逃げてくれること間違いなしです。
梅雨時期の少々の雨なら屋外でも専用の線香ケースに入れて使えますよね。
簡単に雨よけを作ってあげるなら、雨が降っても置きっぱなしOK。
気象条件にもよりますが燃焼時間は5時間半~6時間です。
カプサイシンの刺激が煙に乗って遠くに運ばれる効果も期待できます。
何日も雨が続くと人間は畑仕事に出てこられないため、その間の見張り番としても活躍してくれること間違いなし!
さらに火事にならぬよう用心しながら、夜間の見張り番に使うこともできますね。
強力忌避一番プロ 粒剤タイプ
- 世界一辛い唐辛子ハバネロエキスを浸透させている
- 粒剤なので手軽に散布できる
- 天然有機物なので土に戻る
- 2か月効果が持続する
最後にご紹介するのは、世界一辛い唐辛子として知られているハバネロを使った忌避剤です。
その辛さはタバスコの約10倍と言われています。
これを木タール液と合わせ強力な臭いが発生するように粒剤タイプに仕上げています。
木タール液とは木を蒸し焼きにした時に出る煙を油状に液化させた木タールにニンニクなどを混ぜた忌避剤です。
イノシシ忌避効果がある木酢液をバージョンアップさせた感じで効き目がありそうですね。
これに無敵のハバネロですから考えただけで目や鼻が痛くなるイメージです。
イノシシが侵入しそうな畑の周りにばら撒くだけでいいなんて簡単です!
イノシシ対策に唐辛子を使う注意点
世界一辛いハバネロが登場しましたが、イノシシよけにはどんな唐辛子を選べばいいのでしょうか。
ここからは植えて効果のあった唐辛子の種類と唐辛子の効果的な使い方、気を付けておきたい2つのポイントについてお伝えします。
植えるのは甘長トウガラシがおすすめ
唐辛子を植えると言ってもたくさん種類があるので迷ってしまいますよね。
それなら「甘長トウガラシ」を植えてみませんか。
2012年当時の新聞によると、甘長トウガラシが2年連続でイノシシの食害を防いだとの報告があります。
これは農協による取り組みでしたが、見事な結果ですね。
芋づるを畑に植えて小指ほどの大きさに育った時点でイノシシがめちゃめちゃにしてしまうものです。
ちょうど梅雨の時期くらいでしょうか。
梅雨が来る前に一生懸命植えた芋づるがやっと芋を付けたその時にダメになるのは何とも言えない気持ちですよね。
この実験では芋畑の周囲に甘長トウガラシを栽培し、その丈が1mほどに育ったそうです。
唐辛子の実は青くて細長く、カプサイシンのニオイがツンと漂う程度。
イノシシの嗅覚は敏感なのでこの程度でも近づかないんですね。
冒頭で述べた例と同じく、この時もイノシシの視覚と嗅覚を活用してますね。
1mに伸びた唐辛子の苗はイノシシの視界を遮り、その向こうにある芋畑を見えなくしています。
さらに唐辛子から漂うカプサイシンのニオイで嗅覚を刺激し、その畑全体をイノシシにとって魅力のないものにしているのです。
芋のニオイは遠くからするはずですが、それをかき消すくらいのカプサイシンのニオイを感知しているのでしょうね。
近くの栗畑や田んぼには出没していても、彼らの大好物の芋畑が食害に遭っていないとのこと。
つまり甘長トウガラシ作戦は大成功。
これが2年も連続しているということも信頼性が高いですよね。
さらにもう一つの楽しみがあります。
甘長トウガラシって食べたことありますか?
このトウガラシは辛そうに見えてもピーマンより食べやすく、炒めると美味しいのです!
お腹と心を満たしながら、確実にイノシシ対策できるなんて完璧じゃないですか?
そのまま使うよりも細かく刻んだ方が効果的
唐辛子でいちばん辛い部分はどこでしょう?
- 実の部分
- 種
- 胎座(種ができるところ)
答えは③胎座(種ができるところ)です。
この胎座は唐辛子の辛味を生む部分なんですって。
では、イノシシの鼻に刺激を与えるために唐辛子をそのまま使うのと細かく刻むのとではどちらが効果的でしょうか。
もちろん後者ですね。
あるシェフは辛味を強めるためにはより細かく刻むといいと教えています。
唐辛子の胎座は種が熟すほど辛味が増す仕組み。
それでカプサイシンパワーを最大限に発揮するには、熟した頃の唐辛子の胎座を混ぜて細かく刻むのがいちばんというわけです。
イノシシよけに効果的な唐辛子は、ホールでも輪切りでもなく細かく刻んだ唐辛子ということです!
雨が降ると効果が薄くなる
梅雨になると唐辛子対策に工夫が必要です。
唐辛子の粉末が雨に濡れてしまうとカプサイシン効果が流れてしまうからです。
この梅雨の時期に植えた唐辛子の苗はぐんぐん育ってくれますが、粉系のイノシシよけカプサイシンはその逆。
粉系の唐辛子を使った忌避剤は雨に濡れると効果がなくなります。
さらに撒いた後が赤く染まってしまいお掃除の手間も発生、なんてことにも。。。
臭いに慣れると侵入してくる可能性がある
臭いによるイノシシよけは一時的な対策になる恐れがあります。
イノシシが学習して臭いに慣れてしまうからです。
迷惑イノシシが唐辛子の辛い臭いをずっと避けてくれたら嬉しいのですが、そんな期待もできません。
イノシシは学習能力が高いので、嫌な臭いがしても嫌な経験が結びついていなければ臭いに反応しなくなります。
慣れが生じると唐辛子はその場しのぎのイノシシ対策に格下げです。
でも唐辛子だけで戦えない時には他の助っ人アイテムがあります。
唐辛子とは違ったアイテムと組み合わせることで打倒イノシシに勢いをつけることができますよ。
唐辛子以外の代表的なイノシシ対策方法
イノシシ戦略に役立つアイテムはたくさんありますが、そのうち2つの対策方法を簡単にご紹介しますね。
それはこちら。
- ライト
- 柵
ライトはイノシシの視覚を刺激する方法です。
眩しい!と驚かせて追い払う方法と、ライトが光った瞬間に何かが見えてギョッとした!と驚かせる方法です。
その光り方も様々で、ランダムに照射するものやセンサーで強い光が点灯するもの、青い色の光が点滅するタイプがあります。
柵にも種類があります。
ワイヤーメッシュやそれより強度がある金網、電気柵です。
これらは唐辛子を撒く方法より手がかかりますが、より効果期間の長い対策です。
毎日見回りができない山の中や遠いところにある畑、広い敷地の周りに設置するといいでしょう。
高さもイノシシが飛び越えられない高さにしたり、ウリ坊が入れないように工夫をするなどひと手間かかりますが、それも最初だけです。
プラス唐辛子対策でイノシシも降参してくれるといいですね。
イノシシ対策のおすすめライトやワイヤーメッシュの柵、電気柵の設置方法、その他のイノシシ対策法などはこれらの記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
>>「【イノシシ対策にライトは効果ある?】おすすめライト3つを紹介!」
>>「イノシシ対策にワイヤーメッシュ柵は効果ある?設置方法や注意点を解説!」
>>「【イノシシに電気柵は効果ある?】おすすめ商品や価格相場、設置方法を解説!」
>>「【イノシシ対策完全版】効果のあるおすすめの撃退方法を全て解説!」
唐辛子でイノシシ対策できない場合は、害獣駆除業者にお願いしましょう
人間の思い通りにならないのが野生動物との闘い。
繁殖力の大きいイノシシはどんどん数が増えていくため、一時的な対策だけでは被害を失くせません。
報告によると駆除を徹底しても全体数が変わっていないように思えるほどの勢いで増えているようです。
イノシシは行動範囲が広くないので、いつも見かけるイノシシは近くに定住している個体と考えていいでしょう。
ということは、その個体を駆除(殺傷)しなければさらに被害が拡大すると予想できます。
忌避剤によるイノシシよけはあくまでも追い払う手段にすぎません。
実のところ、その間にイノシシは数を増やしているのです。
とは言っても、駆除は誰もができることではありません。
イノシシ駆除のためには、イノシシに関する経験と知識、道具や免許がなければできません。
個人での忌避対策に限界を感じたときやイノシシの数が圧倒的に増えてしまっている時には、イノシシ駆除業者に相談してみてはいかがでしょうか。
専門の駆除業者に頼むならイノシシに煩わされない日常に戻れますよ。
おすすめのイノシシ駆除業者についてはこちらの記事で厳選しているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。